【人生】珍歩鼓太郎の1日
珍歩鼓太郎の1日
僕の名前は珍歩 鼓太郎(ちんぽ こたろう)どこにでもいる普通の男…いや、
チンポだ。
今日も何てことない、普通の一日が始まる。
朝起きたら出勤前にまずは顔を洗う。顔も体もさっぱりして、その日の仕事を元気に迎えたいから。
この1DKのマンションに暮らしてもう2年、築年数もそこまで経ってないし、近くにスーパーもあるから特に不満はない。
ただ…
どう考えても洗面台のサイズが僕のサイズに合ってないような気がする。気のせいかもしれないが。
営業職の僕は常にネクタイで身を引き締める。社会人としての、当たり前の嗜みだ。
カバンも持って、いざ出勤。
今日はこれから3件は外回りしなきゃ…!
お昼休みは公園で一人寂しくコンビニ弁当。一人寂しく、とは言っても、周りには同じような企業戦士を見かける。
彼らが休憩をしてるのか、それとも時間つぶしにサボってるかはわからないけど、同じ境遇の人がいると思うと、勇気が湧いてくる。
外回りも終わって、商談も成立……。上司に報告し、直帰していいと言われる。
一人で飲みに行くのも悪くないが…たまにはリフレッシュでもしたいと思っていたところだ。
ーーマッサージだ。
僕は、半端に早いこの時間を使い、マッサージ店に行くことにした。
場所は五反田。
駅の周りのビル群がある中、ちょっとした路地裏に入ると個室マッサージの店があり、受付を済ませ個室に案内された。
シャワーを浴び、横になって女性マッサージ師に身体の凝りをほぐしてもらう。
「どこが凝っていますか?」
ー肩とかですね。
「こういうお店はよく来るんですか?」
ーええ、たまに。
「だいぶ凝ってますね」
ーええ、そうですね。
などというありきたりな会話を、そっけない返事で返してしまう。
何をカッコつけてるんだ、僕は。
どんなそっけない返事でカッコつけても、僕の今の状態はほぼ裸で、説得力も何も生まれない。
それでも、リフレッシュしたいときはどうしてもここに来てしまう。この羞恥心にも似たような感情が行き交う、独特な空間。それがたまらなく好きなんだと思う。
それが男の、珍歩鼓太郎の性なのだ。
マッサージが先に進むと、仰向けの指示をされる。
これだ。
仕事を早く片付け、わざわざここに来たのは、今、この瞬間のためなんだ。
エステシャンの彼女は何も言わず、ただじっと僕の目を見て、僕の身体で一番凝り固まってるところをマッサージして行く。
そして僕はされるがままに……
施術が終わってからは、独特のぎこちない空気が流れ、挨拶も早々に帰宅する。
毎回、「なんでこんな事に金を使っちまうんだ」と思いながらも、どうしてもまた来てしまう。
それでも、毎日同じことの繰り返しの中で、ちょっとした刺激や癒しを求めてしまう。
男とは、そんなものである。
という事で、僕のなんてことのない1日は終わります。それでは、おやすみなさい。
珍歩鼓太郎の1日 (終)
おまけ:珍歩鼓太郎の作り方
珍歩鼓太郎の素材はフェルトです。
これをまとめて型を作っていきます。
胴体と同様に、頭の部分も作り、
胴体と頭を、新しいフェルト素材で結合していきます。この辺から珍歩くんに愛着が湧いていきます。
あとは形を整え
手をつければ完成です。皆さんも是非、珍歩くんを作ってみてください。
それではさようなら。